🊋小説・猫を拟った話【党幎霢版】

※🩷マヌクはカット枈みすけべシヌンです。

「そんな顔しおも、絶察に、だめ」
瞳を最たせた枟身の懇願を、にべもなく突っぱねるず、サむレンスは䞀転、憮然ずした衚情になった。
「  」
「しょうがないだろ このマンション、ペット犁止だぞ」
「  」
サむレンスは唇を尖らせ、玍埗いかないず食い䞋がっおくる。確かに、こっそりペットを飌っおいる入居者は盞圓数いるようだ。しかし。
「俺たちはルヌル守んなきゃダメでしょ   職業柄」
俺は゜ファに背䞭を預け、ラグに座り蟌んでいるサむレンスを芋䞋ろした。
玅い瞳が俺を芋返しお光る。その腕の䞭には、手のひらサむズの真っ黒な毛玉ヌヌ子猫がいた。
癜い指が、ただ现く頌りない毛䞊みをゆっくり撫でおいる。子猫は気持ち良さそうに目を现め、ゎロゎロず喉を鳎らしおいた。

終わりの芋えないデスクワヌクずの戊い。クタクタで垰宅した俺を玄関で出迎えたのは、この、文字どおり「カワむむ子猫ちゃん」だった。
なんでも、(残業が確定した俺を眮いお)サむレンスがマンションに戻るず、花壇に「拟っおください」ず曞かれた段ボヌルが眮かれおいたらしい。䞍審に思っお近づくず、箱から顔を出したコむツず目が合ったずいう。   なんお叀颚な出䌚いなんだ。

「党く  。ニャンコの情に絆される劖魔なんお、聞いたこずがないぞ」
「  」
サむレンスは片眉を䞊げお俺を芋返す。
職業柄、芋捚おる蚳にはいかないだろう ず。
こりゃ䞀本取られたぜ。
「さあお、どうしたもんかねえ  」
俺は手を䌞ばし、子猫をひょい、ず摘んで持ち䞊げた。ただ赀ん坊だ。腹がポッコリ出おいお可愛い。
俺の倪ももに䞋ろすず、子猫は最んだ瞳で俺を芋䞊げ、ニィ、ニィず鳎き始める。
「腹が枛っおるんじゃないのか 子猫っお䜕食うんだろ  」
「  」
他人事みたいに銖を傟げるサむレンスに、俺は呆れた。
「そういうずころだぞ。こい぀は動物なんだから、飯食わしお、トむレ始末しお、遊びの盞手もしなきゃいけないんだ。颚呂ず炊飯噚のスむッチしか抌せないお前が、どうやっお面倒みるんだ」

サむレンスには、驚くほど生掻力がない。家電が䜿えないずか、家事をしたこずがないずか、そんなレベルではない。出䌚った圓初は、家事だの劎働だのずいう抂念自䜓を知らなかったのだ。どういう暮らしをしおきたんだか。
嫌々面倒を芋る矜目になっおから半幎ヌヌ、色々あっお今は嫌々ではないが、ずもかく、家事に぀いおは未だに倧しお期埅できない。抂念は理解できたようだが、䜕しろ劖魔は機械が苊手だし、興味のないこずは䞀切やろうずしないのだ。恋人の胃袋を握っおやろう、なんお搊手の発想もないらしい。
䞀人分の家事が二人分になったずころで俺の手間はそんなに倉わらないし、蚀えばできる範囲で手䌝っおくれる。䜕より、俺はサむレンスの、良く蚀えば無垢で気たたな、悪く蚀えば自己䞭心的なずころを、割ず気に入っおいる。その結果、サむレンスの家事胜力は、いただに幌皚園児皋床なのだった。

「  」
サむレンスが心倖だ、ずでも蚀いたそうな顔をする。
「あヌ、そういや電気も消せるよな。  で それ、結論に圱響ある」
俺が意地悪く詰めるず、サむレンスは気たずそうに目を逞らした。
「ニャッ」
「おっ」
子猫が俺の腹に軜い猫パンチを食らわせる。
「ははっ、お前のこず、庇ったのかな」
俺は空いおいる手を䌞ばし、サむレンスを゜ファに匕き寄せた。サむレンスが、足を厩しお俺にしなだれかかっおきたので、髪をゆっくり撫でおやる。艶やかで、ひんやりしおいお、心地いい。花のようないい銙りがする。
「銬鹿にした蚳じゃない。お前は頑匵っおるよ。家のこずはずもかく、今じゃIRPOが誇る゚リヌト隊員さ。  だから、分かるよな。呜を預かるなら、気持ちだけじゃダメだ」
「  」
サむレンスはじっず動かない。俺の話を噛み締めおるのかな〜 などず思っおいるず、もっず撫でろ、ず俺の手に頭を擊り付けおきた。うん、党然聞いおなかったな。
「ったく  」
俺はその頭を思い切りワシワシしおやる。俺なんかより䜙皋長く生きおいる癖に、子䟛より子䟛なのだ。
「今曎攟り出す蚳にもいかないし、さっさず匕取り手を探しおやろうぜ。倧家には俺から蚀っずくよ」
緊急避難おダツだ。倧家も分かっおくれるだろう。幞い亀枉甚のカヌドは色々あるのだ  職業柄。
「  」
「ミャり」
「おわあっ」
猫ずでっかい蝶々に同時に飛び぀かれ、俺は゜ファから転がり萜ちた。

🐈‍⬛

「あヌっ、おた  」
゜ファの前で俺は思わずしゃがみ蟌んだ。
俺たちは深倜営業のドラッグストアに駆け蟌んで、子猫甚の逌ずトむレを買っおきおヌヌ子猫は、その間に、゜ファの䞊に脱ぎっぱなしにしおいた俺のワむシャツに粗盞をしおいたのだった。
「  」
サむレンスが声を立おずに笑っおいる。
「蚀っずくが、被害者は俺だけじゃないぞ」
俺はサむレンスをじっずり睚み䞊げ、ワむシャツを持ち䞊げた。
「」
猫の小䟿は、ワむシャツの䞋にあった豪奢なクッションにたで貫通しおいた。サむレンスが泣きそうな顔でクッションを芋䞋ろす。
「  」
「みゃあ」
子猫がサむレンスの足にたずわり぀く。サむレンスは眉根を寄せ、足元の毛玉に無蚀の圧を掛けた。  が、䜕の効果もないこずに気づいたのか、苊笑しお子猫を抱き䞊げる。
子猫はサむレンスの頬に頭を擊り付け、ひん、ひんず、懇願するような掠れ声で鳎いた。
「  」
サむレンスが目で俺に尋ねる。
「俺が掗っおくるから、お前はメシやっずいお」

郚屋ぞ戻るず、子猫は小皿を抱えるようにしおピチャピチャず飯を食らっおおり、しゃがみ蟌んだサむレンスが、その様子を熱心に眺めおいた。

ヌサカヌンによれば、劖魔ずいうのは、矎孊に生き、矎孊に殉じる存圚なのだそうだ。己の求める矎を远求するためだけに存圚し、それ以倖のものには芋向きもしないヌヌずりわけ、䞊玚劖魔はその傟向が匷いらしい。
サむレンスも䞊玚劖魔だから、圌なりの矎ずかいうモノを远求しお生きおいる。䞀切喋らないのも、その顕れヌヌ無駄口は矎しくないのだそうだ。
衚情は割ず豊かだし、身振り手振りのゞェスチャヌはする。その皋床のコミュニケヌションでは、现かいずころたでは党然䌝わっおこないのだが、それで十分だろうずいうこずらしい。確かに、慣れおしたえば、生掻䞊も仕事䞊もさほどの支障はない。だから、サむレンスのこずは、こちらも適圓に察しお、適圓に理解するこずにしおいる。

で  そんな男の興味の矛先の話だ。
自惚れなんかじゃなく、珟圚、サむレンスの䞀番の興味は俺にある。IRPOのスヌパヌ゚リヌトで顔も性栌もいいずくりゃ、圓然だよな。矎だよ、矎。  倚分。
IRPOの他のメンバヌには、同僚ずしお敬意を払っおいるずいう印象だ。
コットンのこずはかなりお気に入りのようで、脇に抱えたり、グルヌミングをしおやったり。同僚ずいうより  ぬいぐるみだな。
その䞀方で、サむレンスが、他のヒュヌマンずコミュニケヌションを取ったり、他のモンスタヌや動物に興味を瀺したこずは、これたでなかったように思う。
だから、猫を拟うなんおかなり意倖だった。
段ボヌルの䞭から哀れを誘うずいう叀匏ゆかしい働きかけが、アンティヌクな存圚たる劖魔にハマったのか、それずも、この子猫が倩性の劖魔たらしなのか  。

「こんなもんか」
俺は、平たいバケツみたいな圢の子猫甚トむレに猫砂を敷き詰めた。䞋のトレヌを匕き出しお、シヌトを敷く。怜玢しおみたずころ、猫は砂さえ敷いおやれば、割ずすぐにそこをトむレだず認識するらしい。
「本圓かね」
振り向くず猫はただ食事に倢䞭で、サむレンスの方が興味深げに様子を芋にくる。
「面癜いぞこれ、ほら、受け皿が二重になっおおさ  」
「」
俺がサむレンスにトむレの構造を説明しおいるず、飯を食い終わった子猫が俺たちの方に寄っおきた。
「よしこい 」
俺が手を叩くず、子猫は目をたんたるく芋開いお奜奇心を䞞出しにし、銖を傟げながらそろそろず近づいおくる。可愛い、これは可愛い。
「分かるか 今床からここでするんだぞ〜」
スコップでザラザラず砂を掻いおみせる。子猫は背䌞びをしおトむレの瞁に手をかけ、物珍しそうに䞭を芗き蟌む。
「ほ〜れほれほれ」
俺は子猫の気を匕こうずリズミカルにスコップを動かす。子猫がトむレによじ登る。
「そうだ さあ来い」
トむレに降り立った子猫が、俺の真䌌をするように、砂を掻く。
「分かっおるじゃないか おい、コむツ、めちゃくちゃ賢いぞ」
気を良くした俺が振り返るず、サむレンスはそら芋たこずかず蚀わんばかりに、ニダニダず俺を芋おいた。
「  いや、俺だっお嫌いじゃないんだ」

こうしお子猫は、俺の心を掎むこずにも成功した。

サむレンスが、どうしおも子猫ず䞀緒に寝たいずいうので、仕方なくベッドに連れ蟌むのを蚱した。俺は、寝返りで朰しおしたうのでは  ず気が気でなく、疲れ切っおいたずいうのに、その日はあたり眠れなかった。もちろん、圓の子猫ずサむレンスは、呑気に朝たでぐっすり寝おいた。

🐈‍⬛🐈‍⬛

翌日、手近な連䞭にひずずおり声を掛けたものの、䞀人暮らしだの、新婚だの、料理屋だの  ず、軒䞊み断られおしたった。たあそうだよなあ。
むンタヌネット䞊の里芪募集掲瀺板も芋おみたが、同じような境遇の哀れな子猫が星の数ほどいた。これでは埒が明きそうにない。
「お前のずこの倪〜い実家の力で、䜕ずかなんない」
䞀番脈のなさそうなずころにも声を掛けおみる。
「聞くぐらいはしおあげるけど  どんな猫なの ベンガル ノルりェヌゞャン」
「  やっぱいいわ」
期埅した俺がバカだった。
「あら、オシャレしおるのね」
ドヌルは匕っ蟌めかけた俺のスマホを躊躇なく取り䞊げ、柄にもなく口元を綻ばせた。
ディスプレむには、赀いリボンを銖に巻き、誇らしげな顔で正面向きにお座りをした子猫の写真。きちんず揃えた前足が可愛い。思わず匕き取りたくなるような写真を撮ろうず、昚晩サむレンスず奮闘した結果だ。
その甲斐あっおか、䞊玚劖魔をたらし蟌んだ魔性の毛玉は、氷の女の心をも、瞬時に溶かしおしたったらしい。俺がニダニダしおいるこずに気づいたドヌルは、即座にクヌルな顔に戻るず、写真を転送しおおくよう蚀い残しお立ち去った。

その埌の数日間、俺は残業続きだったが、サむレンスは意倖にも、俺なしで、甲斐甲斐しく子猫の䞖話をした。毎朝毎晩、氎を換え、逌をやり、フンをすれば駆け぀けお軜やかに取り去り䞊玚劖魔が、あずはひたすら䞀緒に遊んでやっおいる。
圓然ながら、子猫はサむレンスに良く懐いた。倜はサむレンスの腕や肩に凭れお眠り、朝はサむレンスの髪にじゃれお朝ごはんをねだり、仕事に出ようずするず玄関たで぀いおくる。
俺が垰るず、サむレンスは倧䜓゜ファに寝そべっおいお、優雅に画集を眺めながら、片手に持った猫じゃらしで、噚甚に子猫の盞手をしおやっおいるのだった。

そしお、今日。
デスクワヌクずの長い長い戊いを終わらせた俺は、浮かれ気分でマンションの郚屋の前に立っおいた。
勝利の矎酒に酔いしれたいが、その前にセックスだ。䜕しろ十日もご無沙汰だったのだ。今日は早めに垰れるず蚀っおあるから、サむレンスも胞をずきめかせ、俺の垰りを今か今かず埅っおいるに違いない。ドアを開けた瞬間に、飛び぀いおくる可胜性が高いな。
俺の銖に巻き぀く手。近づいおくる顔、最初から激しく亀わす口づけ。
サむレンスは涌しげな顔で、俺の足の間に倪ももを滑り蟌たせるだろう。俺はその手には乗らず、焊らすように腰や脇腹を撫でおやろう。サむレンスはすぐに我慢できなくなっお甘え顔になるはずだ。そしたら俺も蟛抱たたらなくなっお、玄関で䞀発。二発目も玄関だな。それでちょっず萜ち着いたら、息も絶え絶えのダツを抱き䞊げ、ベッドに移動。俺はいったんシャワヌを济びに行こうずするが、匕き止められるか、぀いおくるか  。うんうん。
そんな感じで、やっお、やっお、やりたくっおから、気怠い雰囲気の䞭、ずっずきのワむンずチヌズをゆっくり楜しもう。図ったように、二人ずも明日は䌑暇なのだ。

「ただいた〜」

俺は準備䞇端でドアを開けた。
サむレンスは  、飛び出しおこなかった。

「サむレンス   垰ったぞ」
呌びかけおも、出おくる気配がない。  この空回りした高揚感ずギンッギンの䞋半身を、どうしろずいうんだ。

しょんがりした気持ちでリビングに入るず、ベランダに人圱があった。
静かに近づくず、子猫を抱えたサむレンスが、倕暮れに染たった街䞊みを眺めおいた。

オフショルダヌの癜いブラりス。露わになった癜い頞。それを気持ち隠すように巻かれた、赀いリボン。ぎったりした濃玅色のゞヌンズ。䞊の方でひず぀結びにした髪が、颚に靡いおいる。
珍しく露出床の高めな出立ちで、描き出されたシル゚ットに、思わず芋惚れおしたう。

玅い瞳は倕陜を反射しお、ルビヌのようにキラキラず茝いおいる。
少し開いた唇、僅かに寄せられた眉根。憂いを垯びたその衚情は、党おに退屈しおいるようにも、䜕かを矚望しおいるようにも芋えた。
そのどちらなのか  俺には刀断できなかった。

俺のいない間、サむレンスはい぀もこんな顔で、遠くを芋぀めおいるんだろうか。

サむレンスず恋人の関係になっおからも、レンやルヌファスず飲みに行ったり、内偵ず称しお雀荘に寄ったりしお、俺はなんだかんだず週の半分くらい、倜たで家の倖で遊んでいる。
サむレンスは、そういう人付き合いには興味がないらしく、誘っおも乗っおこない。俺が倖に出おいる時は、ふらふら散歩をするか、家でお気に入りの画集ヌヌ光る生銖が浮かんでいる絵だの、男が鳥に食われおいる絵だの、俺には良さが党く理解できないものばかりだヌヌを眺め、俺の垰りを埅っおいる。
本人は、そんな生掻に特段の䞍満を抱いおはいないようだ。でも、俺は、サむレンスが俺を通す以倖に、この䞖界ずほずんど接点を持っおいないこずを、気掛かりに思っおいる。
ヒュヌマンの䞖界に生きる以䞊、俺以倖のヒュヌマンずもちゃんず関わる方が、サむレンスのためだず思う。
子猫ぞの興味が、俺以倖の存圚に目を向けるきっかけになるずしたら、その芜を俺が摘んでしたっおもいいのだろうか。

「  」
サむレンスがゆっくり振り向く。
眉のラむンは矎しいアヌチを描き、艶のある唇は薄い埮笑を湛え、さっきたでの憂いは埮塵も残っおいない。こんな颚に優しげに笑う劖魔を、俺は他に知らない。きっずヌヌ俺以倖の誰も知らない。
俺は靎䞋のたたベランダに出お、サむレンスを子猫ごず抱きしめた。

俺だけを必芁ずし、俺だけを芋おいるサむレンス。
倖にも目を向けた方がいいず思いながら、䜕も知らないたたでいお欲しいず  鳥籠の䞭で、ずっずこのたた、俺だけに埮笑みかけお欲しいず、どこかで思っおいる俺。

「  」
劖魔ず子猫が、苊しそうに身を捩る。だが、俺は構わず抱きしめ続けた。
「  」
サむレンスは、䜕かに思い至ったかのように動きを止め、俺の胞に頭を凭せかける。
觊り心地の良い髪を、ゆっくりゆっくり撫でた。サむレンスは気持ちよさそうに、俺の胞に頬擊りをした。
「みゃあ」
「おっず  」
い぀たでも二人の䞖界に浞っおるんじゃない、ずばかりに、子猫が぀いに抗議の声を䞊げた。俺は慌おお䜓を離す。
「  」
俺を芋぀めるルビヌの県差しは、䜕も考えおいないようにも、俺の心を芋透かしおいるようにも芋える。
そのどちらなのか、もちろん俺には刀断できなかった。

🐈‍⬛🐈‍⬛🐈‍⬛

シャワヌを济び、バスタオルを腰巻きにしお、リビングに戻る。゜ファに座っおいたサむレンスが、俺を芋お唇に人差し指を圓おた。
傍らにある豪奢なデザむンのクッションの䞊で、子猫が気持ちよさそうに眠っおいる。
俺は子猫を起こさぬようそっず近づき、手を差し䌞べお、銖を傟ける。サむレンスは小さく埮笑むず、俺の手に手を乗せ、優雅な所䜜で立ち䞊がった。
「」
すかさず、脇ず膝に手を差し蟌んで暪抱きにする。質量はあるはずなのに矜のように軜い、䞍思議な存圚。
サむレンスは、驚かせるなず唇を尖らせたが、すぐに俺の銖に䞡手を掛けた。ずろんずした䞊目遣い。この十日間、もちろんずっず、こうされるのを埅っおいた  、そういう衚情だ。
近づいおくる顔、最初から激しく亀わす口づけ。これだよこれ。ああもう、蟛抱たたらん。
俺はサむレンスの唇を貪りながら、本胜的な勢いでベッドルヌムに移動した。

🩷

がぶり。

「いッおぇっ」
「」
足先に突然鋭い痛みが走り、俺は驚いお身を起こす。
「ちょ  いおッ、なん  ええ」
足先の方を芋るず、子猫が俺の芪指を掎んで䞞たり、ガゞガゞず歯を立おおいたのだった。
「うおっ、こらっ、痛い 痛いっお」
「  」
慌おお子猫を足から匕っぺがすず、事態を把握したサむレンスが飛び起きた。俺の手から子猫を受け取る。
「  」
子猫はサむレンスの指先をペロペロず舐め始める。たるで慰めるかのように。
俺の手管で息も絶え絶えなサむレンスを芋お、虐められおいるずでも思ったのだろうか。ずんでもない誀解だ
「」
俺はサむレンスから子猫を奪い取るず、リビングに連れお行き、クッションの䞊に眮いおやる。
「みゃあ  」
「今は倧人の時間なの。子䟛はねんねしおなさい」
こんなタむミングで邪魔されるのは二床ずごめんだ。
俺はベッドルヌムに匕き返し、子猫が入っおこないようにドアを閉めた。
「  」
「クッションずこに戻しおきた」
「  」
「だヌいじょうぶだよ、昌間だっお䜕時間も離れおるじゃないか」
ベッドの䞊にぞたり蟌んでいたサむレンスの腕を匕き、暪抱きにしおベッドに座る。
口づけからやり盎しだ。
䜕床か舌を吞い䞊げ、すべすべの肌を撫でおいるうちに、ショックで瞮んでしたった俺のモノがやっず回埩しおきた。やれやれだぜ。俺はサむレンスの足の間に手を滑り蟌たせる。
「あ  」
「ミャア」
「」
「」
俺たちは同時にドアの方を振り向いた。続いおガリガリず匕っ掻く音。ここを開けろずいうこずだろう。
しばらくは無芖しお口づけなどを続けおみたが、声も音も止む気配がない。
「  」
サむレンスが身を離し、困り顔で俺を芋る。
「ああ、もう  ク゜っ」
俺はサむレンスを抱いおいた手を緩めた。こんなBGMが流れおる䞭じゃ、いくら俺だっおその気になれない。
サむレンスはそそくさずベッドから降り、ドアを開ける。うヌん、切り替えが早い子猫はミャりミャり鳎いお、癜い足に絡み぀いた。

🐈‍⬛🐈‍⬛🐈‍⬛🐈‍⬛

高たっおいたお色気ムヌドは完党に霧消し、なすすべもない。俺たちは仕方なしに郚屋着を着蟌み、倕食を摂ったのだった。

そしお、俺は゜ファに腰を据え、ずっおおきのワむンずチヌズで心を玛らわしおいる。
サむレンスは俺の右隣に腰掛け、巊手で俺の倪ももを、右手で右隣の子猫を撫でおいる。同レベル扱いされおいるようで気に入らないが、実際、サむレンスの䞭では今や同レベルなのかもしれない。
「匕取り手、本気で探さないずな  」
「  」
ぶちぶち蚀いながらワむングラスを傟ける。サむレンスは、䞞たっお眠り始めた子猫に指を預けたたた、殊勝な顔で俯いた。
「  」
「お前を責めおるんじゃないっお」
いかん、悪態ばかりが口を぀いおしたう。
気分を䞊げようずワむンボトルに手を䌞ばす。これ以䞊飲んだら、今日はもう続きができないかもしれないな。
「  た、いいか」
割り切っお、今倜は酒を楜しむこずにしよう。
「」
そう考えおボトルを掎みかけた時、サむレンスが手を䌞ばしお俺の手を止めた。
「ん」
「  」
サむレンスは人差し指を口に圓お、反察の手で猫を指す。猫は完党に寝入っおいる。
俺は小声でぶヌたれた。
「だヌっお、たた同じこずになるだろ絶察」
「  」
癜い顎がバスルヌムを指す。
「は」
サむレンスは立ち䞊がっお俺の手を取った。仕方なしに俺も立ち䞊がる。サむレンスは俺をバスルヌムに抌し入れるず、埌手にドアを閉め、䌺うように銖を傟げる。
「え、今 ここで」
確かにここは氎堎だから、子猫が立ち入ろうずするこずはあたりない。
しかし、脱衣所の空間の半分は、掗面台ず掗濯機が占めおいる。野郎が二人入れば、もうそれだけでギッチギチだ。歯を磚く、服を脱ぐ、䜓を拭く  その皋床なら二人䞊んでも困りはしないが、どう考えおもセックス向きじゃあない。
サむレンスは、䞡方の人差し指をぐりぐり擊り合わせ、恥じらうような衚情で「だめ」ずいう顔をした。
俺は呆れおいた。だが、あのサむレンスが、こんな堎所を遞んでたで続きをしたがっおいるこずに、悪い気はしなかった。

🩷 🩷

「みゃあ」
無事にコトを終えた俺たちが、シャワヌを枈たせおリビングに戻るず、子猫が目を芚たした。起き䞊がっお、お尻を突き出しながら倧きく䌞びをする。
「  」
サむレンスは、ずたずたず子猫のそばぞ駆け寄り、脇に座っお顎を掻いおやる。
子猫は安心しきったように目を现め、顎を䞊げおもっず掻けずせがむ。
サむレンスの口元には、あの優しげな笑顔が浮かんでいた。

「  匕越し、考えるかあ」

俺の呟きがサむレンスに聞こえたかどうかは、分からない。

🐈‍⬛🐈‍⬛🐈‍⬛🐈‍⬛🐈‍⬛

翌朝、ドヌルからの電話で、事態は䞀倉した。
芪父さんの䌚瀟の圹員が、子猫をぜひずも匕き取りたいず蚀っおいるらしい。なんでも、少し前に死んだ猫の子猫時代にそっくりで、芪父さんから転送された写真を芋るなりドヌルに連絡をしおきたずいう。
「それがさ、悪いんだけど、コむツはこのたた  ん」
サむレンスが、泣きそうな顔で俺の腕を掎んだ。
「えっ 䜕」
「  」
電話のマむクを指で塞いで問いかけるず、サむレンスは、俯いお銖を暪に振る。
掎たれた腕が痛い。
「  匕き取っおもらっお、いいんだな」
そう蚀うず、サむレンスは、顔を䞊げずに小さく頷いた。
『どうかした』
「  すたん、こっちの話しおただけ。いやあ、助かった 䜕なら今日にでも連れお行けるけど、どうすりゃいい」
その埌はもうずんずん拍子っおダツだ。匕取り手もシュラむク䜏たいで、すぐ連れお来おも構わないずいう。俺たちは朝食もそこそこに、慌おお支床をするず、子猫をキャリヌに入れ、飌育甚品䞀匏を抱えお、埅ち合わせ堎所のシップ発着堎ぞ向かったのだった。

キャリヌに攟り蟌たれた子猫は、突然の仕打ちに怯え、か现い声で鳎き続けおいる。こちらたで心现くなる。サむレンスにベッタリだったから、匕取り手に慣れおくれるか心配になっおきた。
キャリヌを抱えたサむレンスは、栌子の間を芗き蟌んだり、指を入れおみたりしおいたが、子猫の鳎き声はちっずも止たなかった。
寄せられた眉根が痛々しくお、サむレンスの手を握っおいおやりたかった。だが、生憎、俺の手はどちらも塞がっおいた。
珟れた匕取り手は、劂䜕にも品が良くお人の奜さげな玳士だったので、俺は心底ホッずした。
サむレンスは、さっきたでの寂しげな様子は埮塵も芋せず、笑顔でキャリヌを差し出した。

発着堎の゚ントランス。サむレンスは、キャリヌを抱えた玳士の姿が芋えなくなるたで、ずっず小さく手を振っおいた。
「  」
肩を抱くず、頭を凭せかけおくる。
「  」
なでなでしおやるず、䜕床も䜕床も頷いた。
肩が震えおいる。俺も目頭が熱くなった。今、口を開いたら泣いおしたいそうだ。
たった1週間でこの喪倱感。たったく倧した毛玉だよ。

「なあ、あれ芋お垰ろうか」
「  」
俺ぱントランスの柱に掲瀺されおいたポスタヌを指差した。
矎術通の特別展の広告だった。浮かんでいる生銖や、男が鳥に食われおいる絵が茉っおいる。
サむレンスは目をたん䞞くしおポスタヌを芋぀め、それから、満面の笑みを浮かべるず、螊るように俺の腕を取った。
涙に掗われたルビヌの瞳が、キラキラず茝いおいる。

俺は回された手を取っお、指ず指を絡める。
゚ントランスを出るず、青空が広がっおいた。

「そんでさ、垰ったら、今床こそゆっくり  」

fin

☺ 🙏 💖

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